バイクをきれいな状態で維持するために、毎回本格的な洗車が必要なわけではありません。
一度きれいに洗車された車両で、その後に雨天走行をしておらず、表面へ軽いホコリが乗っている程度であれば、水とマイクロファイバークロスを使った日常メンテナンスで対応できます。
目的は、毎回すべての汚れを完全に除去することではありません。新しく付着した軽いホコリを回収し、次の本格洗浄まで汚れを蓄積させないことです。
この記事では、この日常メンテナンスを使える条件、具体的な方法、処置を強くせずに止める判断基準を説明します。
この洗車方法を使える車両状態
今回の方法は、次の条件を満たす車両を対象とします。
- 一度きれいに洗車されている
- その後に雨天走行をしていない
- 泥や大量の砂が付着していない
- 強い油汚れがない
- 表面に軽いホコリが乗っている程度である
雨天走行後の汚れ、泥、大量の砂、油汚れ、固着汚れを落とす本格洗浄とは分けて考えます。
砂や粒状の異物が多い状態でクロスを動かすと、異物を車体表面へ引きずり、塗装面や表面仕上げへ傷を入れるおそれがあります。汚れているからといって、すべての状態を同じ方法で処理することはできません。
用意するもの
必要なのは、きれいな水と、清潔で柔らかく毛足の長いマイクロファイバークロスです。
クロスは少なくとも、次の用途で分けます。
- 車体の水拭き用
- 最終拭き上げ用
- ホイール用
毛足のあるクロスへ十分な水を含ませ、表面のホコリを繊維側へ取り込みながら回収します。ただし、毛足が長いだけで安全性が決まるわけではありません。清潔であること、柔らかいこと、異物を抱えたまま使い続けないことも必要です。
途中ですすげる水道がない場合は、使用済みのクロスを使い続けないよう、清潔なクロスを多めに用意します。
直射日光と車体温度を確認する
直射日光が当たる場所では作業しません。
走行直後だけでなく、日光によってタンクやカウルなどの表面が熱くなっている場合も、日陰へ移動し、十分に温度が下がってから始めます。エンジンやマフラーなどの高温部も、冷えていることを確認してください。
直射日光や高温の車体表面は、水分の急速な乾燥やシミの原因になります。マイクロファイバークロス自体も熱に弱いため、熱い部分へ使用しません。
水とマイクロファイバークロスを使った日常メンテナンス
車体全体を一度に水拭きしてから、最後にまとめて乾拭きする方法ではありません。作業範囲を小さく区切り、ホコリの回収から最終拭き上げまでを終えてから、次の範囲へ移るのが基本です。
1.クロスへ十分な水を含ませる
清潔なマイクロファイバークロスへ十分な水を含ませます。
目安は、クロス全体が水を吸ってずっしりと重くなっている一方、持ち上げても水滴が垂れ落ちない程度です。
クロスの大きさや厚みによって吸水量は異なるため、数値で決める必要はありません。少し湿らせたクロスで表面を擦るのではなく、十分な水分を使いながらホコリをクロス側へ回収します。
2.比較的きれいな場所からホコリを回収する
タンク上面やカウル上部など、比較的きれいな場所から始めます。
十分に水を含ませたクロスを表面へ軽く当て、強い力を加えずに動かします。ホコリを力で擦り落とすのではなく、水分と一緒にクロス側へ回収することを意識します。
同じ場所を何度も往復したり、変化しない汚れを強く擦ったりしません。クロスの使用面に汚れが乗ったら、清潔な面へ替えます。
3.車体上部から下部へ進める
車体は、比較的きれいな場所から汚れやすい場所へ進めます。
一例として、タンク・カウルなどの上側から始め、フェンダー・フレーム周辺、車体下部へ進みます。車種によって形状が異なるため、順番そのものを固定する必要はありません。
ただし、車体下部へ使用したクロスを、そのままタンクやカウルへ戻して使用しません。下部で回収した異物を上側へ持ち込み、塗装面へ引きずることを防ぐためです。
4.汚れたクロスはすすぐか交換する
ホコリを回収したクロスには、車体から取り除いた細かな異物が残っています。そのまま使い続ければ、回収した異物を再び表面へ引きずるおそれがあります。
水道が使える場合は、クロスに汚れが溜まった時点で、きれいな水を使って十分にすすぎます。車体をすべて拭き終えるまで待たず、クロスの状態を見ながら途中ですすいでください。
水道が使えない場合は、使用済みのクロスを外し、清潔なクロスへ交換します。
- 水道あり:汚れを回収 → すすぐ → 再使用
- 水道なし:汚れを回収 → 使用済みクロスを外す → 清潔なクロスへ交換
重要なのは、一度回収した異物を別の場所へ持ち込まないことです。
5.軽く絞ったクロスで大部分の水を回収する
ホコリを回収したら、水拭き用クロスを十分にすすぎます。水道が使えない場合は、汚れを抱えていない清潔なクロスへ交換します。
そのクロスを軽く絞り、最初のホコリ回収時よりも水分を減らします。新たに水を吸収できる余力をつくり、車体表面に残っている水の大部分を回収します。
この段階で完全に乾かす必要はありません。
6.さらに強めに絞り、残った水分を回収する
一度目の水分回収が終わったら、クロスをさらに強めに絞ります。
クロス内の水分をさらに減らして吸水余力を増やし、車体表面に残った水分をもう一度回収します。
ここまでの流れは、次のとおりです。
- 十分な水を含ませてホコリを回収する
- クロスをすすぐ、または清潔なクロスへ交換する
- 軽く絞って大部分の水を回収する
- 強めに絞って残った水をさらに回収する
7.清潔な乾いたクロスで仕上げる
最後に、水拭き用とは別の清潔で乾いたマイクロファイバークロスを使用します。
前工程で大部分の水分を回収しているため、ここでは表面に残った少量の水分だけを回収します。強く擦る必要はありません。
クロスが水を多く吸ってきたら、乾いた面へ替えるか、別の清潔なクロスへ交換します。ここまで終えて、その範囲の作業は完了です。
作業部分を途中で自然乾燥させない
水拭きから最終的な乾いたクロスでの拭き上げまでを、一連の作業として続けて行います。
ホコリを回収する → 水分を段階的に回収する → 乾いたクロスで仕上げるところまで進めてから、次の範囲へ移ります。
作業中の水分を自然乾燥させないことも、直射日光を避け、車体表面を十分に冷ましてから始める理由です。
ホイールは車体とクロスを完全に分ける
フロントホイールが軽いホコリだけの場合
フロントホイールに付着しているものが軽いホコリ程度であれば、基本的な方法は車体と同じです。ただし、ホイール用クロスは車体用と完全に分けます。
ホイールには、ブレーキダストや路面由来の細かな異物が付着します。ホイールへ使用したクロスをタンクやカウルへ使えば、回収した異物を塗装面へ持ち込むことになります。
明らかな砂や泥、固着したブレーキダスト、水拭きで変化しないホイール汚れは、この日常メンテナンスでは追いません。
リアホイールに油汚れがある場合
チェーン駆動車では、走行によってリアホイールへチェーンオイルなどの油分が飛散することがあります。ホコリだけであれば同じ方法で管理できますが、次の状態は対象外です。
- ベタつきがある
- 油汚れが見える
- クロスへ明らかな油分が付く
- 砂やダストが油分へ絡んでいる
油分は、水だけでは十分に除去できません。その状態で水とクロスだけを使い続ければ、クロスによって油分を周囲へ広げます。さらに、そのクロスを別の場所へ使えば、油分まで移すことになります。
リアホイールの油汚れは、軽いホコリとは別の汚れとして扱います。具体的な油汚れの除去方法は、この記事では扱いません。
落ちないものを無理に追わない
日常メンテナンスでは、何を落とすかだけでなく、何を追わないかも重要です。
軽い作業で変化しないものは、固着汚れ、油汚れ、水垢、虫汚れ、変色、腐食、傷など、単純なホコリとは別のものかもしれません。
ここから力を加えて擦れば、汚れを落とす前に車体へ傷を入れたり、表面仕上げを傷めたりするおそれがあります。落ちないことを確認した時点で、処置を強くしないことも車体を維持するための判断です。
日常メンテナンスと本格洗浄を分けて考える
今回の方法は、一度きれいに仕上げた車両を、その状態から大きく悪化させないための日常メンテナンスです。
普段は、新しく付着した軽いホコリを蓄積させない。この方法で取れないものは無理に追わない。必要なタイミングで、車両状態に応じた本格洗浄を行う。この境界を守ることが重要です。
ReBORNでは、日常走行で付着した汚れを固着・蓄積させないCARE CLEANと、固着・蓄積汚れを対象とするDEEP RESETを、車両状態に応じて判断しています。
毎回強い処置をするのではなく、軽い汚れは軽いうちに管理し、その範囲を超えたものは状態を見て判断する。それが、洗車後の状態を長く維持するための基本です。
